上海ジャピオンの最新特集 2010年08月06日
中国人と毛

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気長で楽天的性格がカギ
髪は豊富な血が生み出す

 上海の街中を歩き注意して見てみると、頭の薄い人が少ないことに気づく。
この点も含め、ヘアケア事業を手掛ける「アデランス」が、2006年に上海の成人男性薄毛調査を行っている。
調査では、上海人の薄毛率は19・04%という低さを記録。
これはマドリッド(02年)の42・60%や、東京(07年)の26・78%などを大きく下回り、
同社が同様の調査を行った世界21都市の中でも、ダントツに薄毛が少ないのだ。
 この薄毛の人が少ない秘密はなんだろうか? 
髪の専門家と言うべきアデランスの豊田さんにこの疑問をぶつけると、
「中国では、髪へ多大な影響を与える疲労やストレスを感じる人が比較的少ないからではないでしょうか? 
日本人に比べ、おおらかで楽天的な方が多いですから」という答えが返って来た。
身体に疲労やストレスがあると肩や首がこり、血の流れが悪くなる。
これが毛髪に悪影響を与えるのだ! 
「新しい毛を生み出す工場・毛母細胞は、1日1万回細胞分裂を行ないますが、その栄養は血が運びます。
髪は〝血余〟と言われるように、血に余裕がないと、その工場が上手く働かないんですね。
なので血が足りないと、フサフサ健康に保てないんです。
血が上手く回っているのか、上海人の髪の毛は太くて本数も多いですね」と豊田さんは話す。
 また、髪とストレスなどの関わりは中医学でも語られ、
北京西苑中医院の張教授は、怒ると体内の気が上昇し、頭部が熱を発して抜け毛を引き起こすとする。
古来、中国人の気長な性格が、髪に必要な血を多く作り出し、フサフサの毛を保っているのであろう。
薄毛の人が少ないワケは、中国人の性格にその一因があったのだ。

 

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ワキ毛処理は肌に悪い?
処理する日本が異常かも

 上海にきた日本人が、ビックリすることのひとつに、中国女性がワキ毛を処理しないことが挙げられるだろう。
マーケティング会社「インフォブリッジ」が、今年7月に上海人女性を対象に行った調査では、
42%の女性がワキ毛を剃らないと回答。
ワキ毛の処理を行う人は、日本に比べて断然少ない。
 上海中医薬大学卒の黄医師は、女性がワキ毛を剃らないことに関し、
「剃ることで肌が荒れたり、身体に悪い影響が出たりすると考える人も多いですね」と解説。
「ワキにはリンパ節がありますし、動脈も浅い位置を通ってますので、
万が一剃り損って肌を傷つけるのが怖いという人もいます。
かくいう、私自身がそうなんですが(笑)」とワキ毛を処理していないことを堂々と明らかにしてくれた。
 また、前述の調査では、剃らない理由として66・7%の人が、
「処理するなんて考えたこともない」とするなど、
ワキ毛を剃るという考え方自体が、上海でもまだ一般的ではないのかもしれない。
アデランスの豊田さんも「中国の人からしてみたら、
日本人の女性のほとんどがワキ毛を処理しているのが異常に見えるのでは」と指摘する。
 他にも毛の処理に対する意識の違いが挙げられるかもしれない。
中国や韓国では、木綿の糸を使って産毛を除去する、「糸脱毛」という伝統的な脱毛法があるが、
これは自分で行うには結構難しく、人に施術を行ってもらう必要があるのだ。
一方日本では、江戸時代などにぬか袋を使って該当部分を磨いて産毛やワキ毛を除去する方法が考案され、
脱毛は自分1人でもできるものだった。
豊田さんも「中国では、自分でこまめに処理するという意識が弱いのかもしれない」とし、
ワキ毛処理をする人が少ない理由のひとつとする。
 たかがワキの毛と侮るなかれ。
それを処理する、しないには、様々な要因が絡み合うのだった。

 

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体毛薄いモンゴロイド
ムダ毛を嫌う古代中国人

 中国人男性は、日本人の女性も羨むほど、肌がツルンとして、体毛が薄い人が多い。
夏にハーフパンツで街を闊歩する男たちのすねは、一様に毛が目立たないのだ。
なぜだろう? 
アデランスの豊田さんは、「アデランスでは具体的にデータを集めたわけではないので、解説は難しいですが」
と前置きした上で、体毛についてコメントをくれた。
 「人類学的には日本人も中国人もモンゴロイドと呼ばれ、体毛は基本的に少ない人種なんです。
司馬遼太郎の『街道をゆく』などにも書いてあったと思うのですが、
日本では大陸からやってきた北方系のモンゴロイドと、体毛の濃い南方系のアイヌ人の血が混じったので、
体毛がより目立つようになったのかもしれません。
中国は北方民族が何度も統治してますし、体毛のより少ない北方の性質が、
中国人に出ているのかもしれませんね」
 人種以外の角度からも見てみよう。
平安時代の医家・丹波康頼(たんばのやすより)が、
中国の唐代以前の医学書を引用し編纂した医学書『医心方』に興味深い記述がある。
同書の巻二十八房内篇に、中国古代の観相術の手引き書『太清経』を引き、
「腕やすねに粗い毛のある女は男を害する」と記載しているのだ。
また、同様に引用されている六朝時代の医書『玉房秘決』には、男性が女性を選ぶ際には
「ワキの毛はないか、あっても細くなめらかでなくてはならならない」とあり、
さらに「上唇や頬にヒゲのような長い毛がある女は男に害をなす」という話も載る。
古代中国人は、ムダ毛を忌み嫌っていたのだった。
 この基準に合わせて相手を選んでいくと、自然と体毛が薄い人が優勢となっていくのは自明の理。
人種と文化…2つが入り交じり、中国人の体毛は薄いのだ。

 

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上海人の7割以上が直毛
ストレス社会がくせ毛生む

 ロングのストレートヘアといえば、かつては大和撫子の代名詞ともいう存在だったが、それも今や昔。
日本では、くせ毛の人が増えてきているというウワサだ! 
実際、上海で働く日本人美容師さんによると、直毛率は日本人客より中国人客の方が高いと言う話もチラホラ。
なおインフォブリッジによる調査では、77%の上海人が直毛と回答している。
 そもそもくせ毛はなぜ起こるのか? 
まずはくせ毛のメカニズムについて、アデランスの豊田さんにぶつけてみると、
「直毛の人とくせ毛の人では、毛包の形が違うんです」と教えてくれた。
毛包とは、毛穴より下にある髪の毛を取り囲む組織のことで、髪の毛が作られる過程で非常に大切な部分だ。
 「直毛の人は毛包が頭皮に対してまっすぐに降りているのに対し、
くせ毛の人はぐにゃっと曲がっているんです。
日本人も中国人も同じモンゴロイドですし、直毛の人も同じくらいの割合だったはずです。
ただし日本では、近年特に暗い環境でパソコンなどを使って、
目を酷使する人が多いのが髪に悪影響を与えているんじゃないでしょうか」と豊田さん。
目の周辺、肩、首筋が凝ることで、髪が様々な方向に引っ張られるので、毛包が歪んでしまうのだという。
それでくせ毛が起きるのだ。
 「中国の人はとても明るく、性格的にくよくよしない人が多いので、髪の健康にとても良いですね。
くせ毛も出にくくなると思います」と、豊田さんは中国人のくせ毛の少なさに対しこう推測する。
ストレス社会に生きる現代人は、遅かれ早かれくせ毛となる運命なのかも知れないが、
楽観的な性格であればくせ毛も防げるのかも知れない。

 

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~上海ジャピオン8月6日号より

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