上海・不動産関連コラム 2012年05月11日
考える男マートンと哲学の小部屋(トイレ)~ROOM No.3

5ツ星ホテルへ

私は考える男マートン。
人民公園にて思索に耽っていたのだが、
喉が渇いた。
ちょうど近くに、
評判のいい5ツ星ホテルもあるし、
今日はちょっと贅沢をして、
ホテルラウンジで茶を頂くか。
さすが5ツ星ホテル。
雑多で賑やかな通りからメインロビーに入るだけで、
高級感あふれる別世界が広がっている。
…ん? べつせかい? 
…パラレルワールド、平行世界…面白いテーマだ。
早速小部屋(トイレ)へ!

パラレルワールド

ドアを開けて一歩足を踏み入れた瞬間、
私の身体に衝撃が走った。
手洗い場の壁には、幾筋のラインがクロスしている。
そして便座用個室には、
真直ぐのライン1本のみ。
モスグリーンと黒、金色で彩られ、
一見単なるスタイリッシュでシャレた空間だが、
大きな意味が隠されている。
手洗い場のラインは交わっており、
干渉し合う世界、つまり我々の現実を表す。
そして個室の1本のラインは平行世界、
つまりパラレルワールドを示しているのだ。
これは、小部屋(トイレ)は、
現実とは違うもう1つの世界であるという
主張に他ならない。
…正直、このホテルがここまで高次元な
哲学を持っていたとは考え付かなかった。
さすがは5ツ星だ。
ありがとう、いい小部屋(トイレ)であった。

 ~上海ジャピオン05月11日号

上海・不動産関連コラム 2012年04月27日
考える男マートンと哲学の小部屋(トイレ)~ROOM No.2

レストランで式
私は考える男マートン。
今日は、友人の結婚パーティーに招かれ、
淮海中路の創作中華料理店へやって来た。
店内は1階から2階までが吹き抜けになっており、
昔の社交場ホールのような趣である。
華やかな会場で、友人も満足そうだが、
花嫁の表情だけがなにやら浮かない…
噂に聞くマリッジブルーだろうか? 
ここは私が素晴しいスピーチで彼女の心を晴らしてやろう。
では早速、考えをまとめねば。
小部屋(トイレ)はどこだ!

回転木馬と〝馬桶〟
…ふう、落ち着く空間だ。
個室内は、壁と床一部に深緑色のタイルが貼られ、
なかなかシャレている。
手洗い場も、縞模様の床や壁のタイル、
金の飾りなど、それぞれ素材はバラバラだが、
不思議と調和をなしているな。
小便器のつい立ての柱も凝った形で、
まるでメリーゴーランドのようだ。
メリーゴーランドと言えば馬が必須だが、
この小部屋(トイレ)にはすでに便器、
中国語で〝馬桶(マートン)〟があり、完璧だ。
…私と同じ名前だなんて、
運命を感じてしまうな。
…よし、スピーチでは
私とこのトイレの運命的な出会いを語り、
花嫁にも運命の相手の大切さを思い出させてやろう。
ありがとう、いい小部屋(トイレ)であった。

~上海ジャピオン04月27日号

上海・不動産関連コラム 2012年04月20日
考える男マートンと哲学の小部屋(トイレ)~ROOM No.1 陋室設計書吧

考える男登場

私は考える男マートン。
〝トイレ〟というものに多大な興味を持つ哲学者だ。
便座に座り思考に耽ると、
驚くほど集中できることに気付き、
今では小部屋(トイレ)を発見すると中に入り、
思索せずにはいられなくなってしまった。
今日は人の〝懐古〟という感情について
考えながら歩いている内、
旧盧湾区の南昌路までやって来たが、少々歩き疲れた。
喫茶店を見つけたので、一休みするとしよう。
ほぉ、この店の家具は全て中国アンティークで、
購入もできるのか。
客も老上海的空気を楽しんでいるようだ。
おや? 奥に、何やら素晴しい小部屋(トイレ)が…。

老上海の香り漂う

店内と変わらず、
老上海の香り漂う小部屋(トイレ)である。
恐らくこれもアンティークであろう、
天井に着くほど長い鏡付きの洗面台に、
随所に下げられた古き良き伝統的な中華風の飾り。
つい、懐古主義に陥るな。
…懐古…〝蚕〟?
もし人の懐古という感情を蚕だと考えるならば、こ
の感情は〝絹〟を生み出す。
絹とはシルク、〝知る苦〟であり、
知りたくなかった事実を指す。
つまり懐古により世界の事実を知ることができるのでは?
これは更に考えを深めなければ。
ありがとう、いい小部屋(トイレ)であった。

~上海ジャピオン04月20日号

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