上海物流事情と業務
中国物流業界の現状
 WTO加盟後、世界各国から中国への直接投資が急増し、現在では投資額世界第1位となっています。その理由として「かつては生産拠点だけだったのが、現在は巨大消費市場としても注目されている」ためです。更に、北京オリンピックや上海万博など世界的なイベント開催を加味した長期的な成長が見込まれており、この背景から日本企業の中国進出は、引き続き図られるだろうと推察されます。それにより、中国側は対外開放政策に基づいた外資系企業受け入れを行っていますが、今後の景気の調整、過大な設備投資、過剰生産等の問題を抱えているため、期待できるほどの規制緩和がされていないのが現状です。特に物流企業に対しては、厳しい規制を残したまま市場開放が進められ、全て独自組織で中国全土をカバーする展開が図られていません。一方で、中国国内生産品を中国国内で販売することによって消費が拡大しているため、それに伴い関連企業進出が、沿岸地域から中西部を中心に内陸部に広がっており、国内物流の適切な物流管理体制構築が各企業の重要な課題となっています。

物流産業政策の始まり
1992年
物流という概念が紹介される。

2000年11月
WTO加盟後、外資企業の物流分野の
開放を認め始める。

2001年
物流の発展につき5ヵ年計画が一つの
目標とされる。

WTO加盟時の物流関連開放合意内容
道路輸送業
2004年12月から
外資100%企業の設立を認可
倉庫・保管業
2004年12月から
外資100%企業の設立を認可
貨物運送代理業
2005年12月から
外資100%企業の設立を認可
鉄道輸送業
2007年12月から
外資100%企業の設立を認可

中国国内のインフラ

中国経済の発展や物流の効率を高めるために、中国政府は開放政策と同時に、中国全体のインフラ整備を急速に進めています。2001年には、「物流政策の統合」という試みが行われ、この政策の中で物流の重要性が焦点となり、「閉鎖的傾向がある各地方市場を打破し、中国物流発展を目標とし、無駄のないインフラ建設をする」ことが掲げられました。
また、同年発表された中国経済政策の「第10次5ヵ年計画」の中でも、物流インフラ整備が一つの目標とされており、とりわけ一番重要とされている「道路インフラ」については、この3年程で一般道路が、年平均約14万km、高速道路は年平均4,300km延長されています。国道幹線ネットワークについては、更に輸送の「快速、安全、経済性、便利性」を図るため、2010年完成を目途に、国道主幹線の整備が進められています。このネットワークは、南北5本、東西7本の高速道路によって構成されているため「5縦7横」と呼ばれており、この完成により都市間、地域間の高速道路ネットワークが整備されるため、トラック輸送の範囲が拡大され、正確な輸送時間が把握できるようになります。 しかし、現在約2万kmの高速道路が、国以外に省、自治区、直轄市で整備されているものがあり、これら全てが必ずしもネットワークとして機能していません。従って、中国政府は、輸送効率を高めるため、更に1.2万kmの整備を進め、長期計画として総延長3.5万kmの計画を打ち出していますが、国土面積の広さから考えると、道路網はまだまだ不足している状態です。
 以上のことから、上海、天津、北京といった主要都市を筆頭に、広東省や江蘇省など沿岸地域中心にインフラ整備が進んでいるものの、内陸部の多数の省では整備が遅れており、地域間整備格差を縮めるには、まだまだ時間がかかりそうです。

中国国内物流インフラ 第10次5ヵ年計画における主な整備目標
道路 2005年までに道路総延長170万km(そのうち高速道路2.6万km)
国道主幹線ネットワーク:「五縦七横」政策
五縦路線: 同江〜三亜、北京〜福州、北京〜珠海、二連浩特〜河口、重慶〜湛江
七横路線: 綏芬河〜満州里、丹東〜ラサ、青島〜銀川、連運港〜ホルグス
上海〜成都、上海〜瑞麗、衡陽〜昆明

鉄道 2005年までに鉄道線路総延長7.5万km(そのうち複線2.5万km、電化2万km)
鉄道ネットワーク:「八縦八横」政策
八縦路線: 北京〜ハルピン、沈陽〜湛江、北京〜上海、北京〜九龍、北京〜広州
大同〜海口、包頭〜南寧、蘭州〜昆明
八横路線: 北京〜ラサ、大同〜黄跖、太原〜日照、連運港〜阿拉山口
西安〜後東、重慶〜上海、上海〜成都、昆明〜湛江
海運 大連、上海を中心とした北方沿岸航路区域整備
広州を中心とした南方沿岸航路区域整備
長江沿岸の整備(三峡ダム建設)、その他珠江、黒龍江、京杭運河などの整備
航空 国際航路: 北京首都国際空港、上海浦東国際空港、広州白雲空港の三大空港重点拡張
国内航路: 北京、上海、広州、西安、成都、沈陽の主要都市空港整備。
蘭州、ウルムチ、庫車、且末、敦煌、昆明、北海などの空港整備。
上海のインフラ状況
2004年、上海にて、従来の保税機能と輸出加工区の双方の機能を併せ持った「外高橋物流園区」プロジェクトがスタートしました。最大の関心事は、増値税(日本の消費税に相当)の還付がされることです。例えば、中国国内の貨物を物流園区に搬入する時点で、その貨物は「輸出」とみなされ、輸出した場合と同様に増値税の還付が認められます。
 また、上海市では、洋山深水港建設プロジェクトを推進し、国際航運センター機能を強化する予定です。同センターは、2010年完成予定で、50以上の船舶接岸エリアにて、年間コンテナ取扱い2千万個(20feet当たり)以上の取扱いが可能となります。
 その他のプロジェクトとしては、2005年に、交通インフラ整備と総合交通の統一管理を強化し、道路、鉄道、水運といった交通システムの一体化を進める予定で、2007年には、浦東国際空港に新たなターミナルを建設する計画があり、2010年までに滑走路を3本に増やす予定です。そして、高速道路においても同年までに、13以上の各地方から上海へと繋がることになります。

日系物流企業の進出状況

日系物流企業では、すでに海外進出している企業全体の約60%が中国に拠点を構えており、これらの企業は次のように大別されます。
(1)総合物流業者
(2)フォワーダー物流業者
(3)倉庫業者
(4)海上輸送業者
(5)メーカー系物流関連会社
(6)梱包事業者
(7)総合商社系物流会社。

それぞれの業務内容は、国際フォワーディング、陸上輸送、倉庫保管、流通加工輸送、通関業務といった国際物流関連業務の他、国内小口貨物輸送、在庫管理サービスを提供しています。今後規制緩和が進み、国内市場の拡大、インフラの整備などにより、日系を含む外資系企業の提供するサービス、ネットワークが更に充実していく事が予想されます。

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