緊急対応・病院選択
中国の病院のしくみとレベルは?

中国の病院は、以前は、いくつかの等級に分類されていました。高い方から順に、3級甲等、3級乙等、3級丙等、2級甲等…と続きます。3級甲等の病院は、中国衛生部、省衛生庁、市衛生局の管轄で、一定の医療環境基準を満たすもの(大学付属病院など)、2級は市の下の区レベルの病院、1級は町や居住区レベルの病院です。等級制度自体はすでに廃止されていますが、病院評価の一応の目安となります。2級以上の病院は原則として24時間体制で運営されていますが、夜間、休日の医師のレベルは高いとはいえないため、緊急の場合はともかく、きちんとした治療を受けたいのなら、平常営業時間内に受診することをお勧めします。なお、日本人が利用するのは、ほとんどが3級甲等の総合病院の特需門診部(「門診」とは中国語で「外来」のこと)と等級のない外資系クリニックです。
 以前はすべて国営であった中国の病院ですが、最近は、クリニックや歯科診療所を中心に、民営病院も増えつつあります。外資参入の総合病院は、現時点では存在していません。クリニックも外国独資は認められておらず、必ず中国の病院との合作でなければなりません。特需門診部とは、外国人および中国の富裕層対象に窓口を開いている特別外来で、上海市内の多くの総合病院はこの方式で外国人患者を取り入れています。国際医療中心と称している所もあり、医療環境、設備、サービスいずれも一般中国人用とは一線を画しています。これら特別外来の経営方式は二種類あり、一つは、国営の病院内に病院が独自で作っているもの、もう一つは、国営の病院と民間企業が合作で病院内に作っているもの。後者は資本も経営も親病院とは別です。

どの病院、どの医師に診てもらうか?

受診するにあたって一番重要なのは、どの病院のどの医師に診てもらうか、です。総合病院といっても診察科目により得手不得手があるので、見極めて利用しなければなりません。日本人は何でも日本人医師や日本語の通じる医師に診てもらおうとする嫌いがありますが、本当に重大な疾病であれば、専門の医師に診てもらうことをお勧めします。自宅近くのクリニックをホームドクター的に利用し、大きな病気の場合はそのクリニックから専門の病院、医師を紹介してもらう、というのが理想です。専門の病院選択、紹介に関しては、クリニックの他に、医療アシスタンス会社などに頼る手もあります。

医療費と医療保険
医療費の支払いでは、海外旅行傷害保険を利用する人が圧倒的に多いです。日本人のよく利用する病院では、保険会社のサービスの一環としてキャッシュレスサービスというものが広く行われており、保険適用範囲内の傷病治療であれば、事前に所定の手続きをすることで、病院での支払いが不要となるため、非常に便利です。他に、自分で一旦支払い、日本の各種健康保険に請求することもできます。ただし、健康保険に請求する場合、日本と同じように自己負担は3割と思っていたら、割を食うことになります。特に特需門診部では、高価な材料や薬を使用したり、費用が一般より高めに設定されたりしていることもあり、日本の治療費用基準を超す場合もまま見受けられます。健康保険では、日本の基準に照らし合わせた上で還付の額を決定するため、まるまる7割が戻ってくるとは限りません。
救急時はどう対処するか?

在留邦人の中で多い重大傷病は、心疾患、脳疾患、次いで交通事故です。即死の場合はともかく、多くのケースは、発生からいかに短時間で適切な救急措置を受けられるかで、その後の運命が決まります。一刻も早く、対応可能な病院へ運ぶこと。救急車を呼ぶことを考える方も多いでしょうが、上海市内で実際に稼動している救急車は40台前後(上海の人口は1600万人)。数の不足に加えて、メンテナンス体制が確立されていないので、助けを求めて数分後に救急車が到着することを期待してはいけません。状況が許せば、タクシーで病院に行った方が早いかもしれません。また、このような場合、クリニックへ行っても時間のロスとなるだけです。初めから専門科目のある総合病院へ行くこと。いざという時のために脳疾患、心疾患治療に強い病院を事前に把握しておくことが重要です。把握とは、実際には病院名だけでなく、住所、自宅あるいは会社からの行き方、信頼できる医師との関係作りまで含まれますが、それぞれの病院や医師との関係作りは個人や企業単位ではかなり困難なので、領事館や医療アシスタンス会社に助けを求めてもよいでしょう。

中国で注意したい病気
中国で日常的に発生している伝染病は肝炎です。中国人のB型肝炎キャリアは、総人口の10%はいると言われており、現在では垂直感染を防ぐため、すべての赤ん坊は出生時にB型肝炎ワクチンを打たれます。A型肝炎もしばしば局地的に流行しています。中国では、肝炎であることがわかると、伝染病病院で、その伝染性がなくなるまで隔離治療を受けなければならないことが法律で定められています。ワクチン接種は中国でもできますが、心配な方は赴任前に接種を済ませておいた方がよいでしょう。
 ちなみにSARS指定病院もありますが、これは、普通の病院でSARSあるいはその疑いありと診断された人が行くところであり、自分から進んで受診することはありません。疑いが完全に晴れるまで、隔離される可能性があります。
医療アシスタンス会社の業務
最後に、医療アシスタンス会社について簡単に説明します。アシスタンス会社は、もともとヨーロッパで、自動車販売のアフターサービスと結びついて誕生したものですが、その後各国の保険会社から海外旅行時の各種サービス業務を請け負うことで発展してきました。よって、保険会社との結びつきが強いのですが、独自に会員制をとって経営しているところもあります。具体的には、現地病院紹介、予約、医療通訳派遣から、日本への緊急搬送手配や現地葬儀手配まで、緊急時の諸対応を行っています。キャッシュレスサービスも、保険会社が直接病院に払うのでなく、多くはこれらのアシスタンス会社が病院に治療費を立替払いしています。業務遂行上の必要から、24時間事故受付センターや専任医師を抱えていたり、医療機関、航空会社、葬儀社等各方面に幅広いネットワークを有しています。ここ上海でも、保険加入者や会員からの問い合わせに対し、症状に応じて適切な病院を紹介したり、日本への緊急搬送の手配をしてくれたりする心強い存在となっています。
(情報提供:上海ウェルビー)

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