オフィス賃貸事情
現在までの オフィス賃貸動向
約10年前、外資系企業の上海進出が相次ぎ、オフィス賃貸料がピークに達しました。その水準は、今の市場と比較をしても過去最高値だったと言います。この市況の影響を受け、多くのデベロッパーがビル建築を計画し、97年頃には、この計画物件が相次いで竣工となりました。しかし同じ時期に、アジア通貨危機が襲い不動産市場も大打撃を受け、同年から98年にかけて、空室率50%超という悲惨な水準を記録します。しかし、99年になると市場が好転します。そして、再び多くの外資系企業が上海に進出し、新たな投資ブームが始まります。2000年には、新規契約面積が近年における最高値を記録し、この傾向は現在に至るまで継続しています。なお、ビルの建築年数や立地条件によって異なりますが、平均募集賃料は、浦西で月額US$20.8/u、浦東でUS$16.2/uといったところが相場です。

賃貸形式と賃貸物件のランク

10年前の上海では、「オフィス分譲賃貸形式」を採っていましたが、数年前より「個人オーナー形式」を採用するようになり、テナント側は、そのオーナーの決めた様式の物件を借りるという、いわゆる貸し手市場になってきているようです。
 賃貸物件にも、ホテルのランク付けのようなものがあります。そのランクは大きく分けて、A.高級 B.中級 C.一般の3つに分けられます。Aは、ロケーションも申し分なく、オフィス内の通信設備(光ファイバー、ブロードバンドや衛星放送)も完備されている物件です。Bは、Aとほぼ条件は同じですが、物件によっては通信設備が若干不足しているものもあります。Cは、築10年といったような古い建物が多く、通信設備環境も整っていないところが多いです。
 賃貸傾向としては、4〜5年前までは、大企業の進出が多かったためか、AまたはBランクの物件が人気でした。しかし、1〜2年前くらいから、中小企業の進出が目立ってきたこと、手ごろな価格で借りられるので仮事務所として利用する企業が増えてきたことなどから、Cランクの物件の人気が高くなっています。

日系企業が多く入っている地域
日系企業が入っている地域は、市内を流れる黄浦江を挟み、旧市街となる「浦西」と、新たに開発された「浦東」とに分けられます。企業集積は、浦西7に対して浦東3という割合で、浦西地域は製造業、貿易や運輸といった業種が多く、特に、延安西路にある「国際貿易中心大厦」に多くの日系企業が入っています。一方、浦東地域は、上海市が推進する一大ファイナンシャルセンター設立の構想に基づき金融業が主流となっており、特に、銀城東路にある「匯豊大厦(森ビル)」に日系企業が集中しています。
オフィス物件選びの手順とポイント
(1)物件を選ぶため、進出目的を再度確認すること
 物件を選ぶために、なぜ進出目的が関係するのだろうかと思うかもしれませんが、実はここが大変重要なポイントとなってくるのです。例えば、販売を主としている企業が、工場を建ててもおかしくないような場所にオフィスを構えるとします。当然のことながら集客率は低く、なんのために海外に進出したのか分からない状態になってしまいますよね。こんな状況に陥らないためにも、再度進出目的を確認して、それに適したエリアを選び出して下さい。
 次に大事なことは、交通の便が良いかということです。特に「車の駐車が可能な場所があるかどうか」は必ずチェックしておきましょう。上海も日本と同様、車台数は多いけれど、駐車場所が少なすぎるという環境なので、特に人が頻繁に訪れるような企業の場合は必ずチェックが必要です。

(2)日系企業に強く、信頼のできる業者を探す
 物件候補(あるいはエリアや条件)にある程度の目星がついたら、現地にある不動産業者に、具体的な物件を探してもらいましょう。その際には、具体的な条件(ロケーション、賃貸料、設備等)を伝え、それに対する業者のアドバイス等を聞きながら、最終候補を徐々に絞っていくと良いと思われます。そして実際に現地に出向き、自分たちの目で確かめ、契約という形をとる方法が、一番効率が良いのではないでしょうか。
 前述したように、現在、上海は貸し手市場です。そのため契約決定の返答が遅くなれば遅くなるほど、良い物件がなくなっていきます。契約の際は、即決または、1〜2週間以内に決定する必要があります。

(3)物件の賃貸契約について
 中国では物件を賃貸する際、広告に記載されている賃貸料に対して再度交渉することが一般的です。貸し手市場であっても、自分の要求を経験のある不動産業者に交渉してもらいます。その際、以下の点も確認しておきましょう。
(1)無料内装期間の有無。無料期間は契約年数や賃貸料によって異なります。
(2)インターネットブロードバンドとの接続は可能か、電話回線数、必要な電気出力度数、特殊設備を使用する場合の事前確認は必要か、など。
(3)共用部分である貨物用エレベーター、男女トイレ、給湯室の有無。
(4)エアコンの運行時間。土日出勤、残業をする場合は、別途エアコンの使用料が必要となります。
 
契約後の内装については、各ビルの規定に従うだけでなく、消防署の審査も受けなければなりません。従って、内装デザインを決める前にビルの管理センター及び消防署へ設計図を提出する必要があります。
 契約の締結に当たり、借りる側として下記書類が必要です。a,個人名義で契約する場合;本人の身分証明書(パスポート)のオリジナル。b,現地法人または既に設立済みの駐在員事務所名義の場合;会社の営業許可書または事務所の批准書、法人代表/首席代表の身分証明書(パスポート)。いずれもオリジナルが必要。c,外国企業本社名義で契約する場合;本社の会社登記謄本、法人代表の身分証明書(パスポート)。いずれもオリジナルが必要。
 なお、本人が契約書に署名しない場合は、署名者への委任状、署名者の身分証明書(パスポート)が必要となります。
 中国では手続きや必要な書類関係など変更することもありますので、その都度業者に確認するようにしましょう。

(4)中国では契約途中の解約は不可
 中国では契約期間中のテナント解約が基本的に不可能です。このことは中国に限らず、海外でのオフィス賃貸借は「契約は締結時の取り決めどおりに履行される」と認識しておく必要があるでしょう。また、中国では、サブリースに関しては「関連会社であれば認められる場合がある」という例外的な対応のため、テナント側にとってやや厳しい契約となるでしょう。ただしその分、契約期間は2〜3年と比較的短期間に設定してあります。
(取材協力:上海イノウエ不動産諮詢有限公司)

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